Café de Yumi

オルガニストYumiと音楽食住を語りあうCafé

教会オルガニスト

Guten Tag! 

 

11月に入り早くも中旬、日本と時差が8時間になり日本とのやりとりに未だ時間感覚のズレが…。

さて、Saarbrückenの先週末は、素晴らしい秋晴れ🍁

f:id:yumi-o:20211115092511j:image

....を最後にし、週明けそして今週も今日もかれこれ6日ほどずっと霧に覆われてます。しとしと降り続ける雨で1日中暗〜い日々。。。

いえいえ、これから更に暗く寒さも厳しくなりやがて雪へと❄️

先週はもう−2℃更新😢すでにめちゃくちゃ寒いです!11月初旬でこんなに寒いとどうなるんだろうか....この冬☃️ 見るからに寒そうなご近所さん⬇️

f:id:yumi-o:20211115095314j:image

さて、そんな秋晴れの先週末の土曜日は街の中心にあるプロテスタントのJahanneskirche(ヨハネス教会)で毎月開かれているHÖRZUというシリーズコンサートでオルガンを弾いてきました♫

f:id:yumi-o:20211115093248j:image

本来ならコンサートの準備風景など颯爽とブログに書きたかったのですが、事前にお葬式が入ったりコンサートの次日に礼拝を弾くことになったり....複数の教会への往復だけでも結構なロス時間、そしてお葬式に急遽セッションすることになったバイオリン君とのリハーサルで余裕がなくなってました😿

コンサートについては最後にご紹介。

 

今日は主に教会オルガニスト(のお仕事の一部)礼拝の奏楽をご紹介してみたいなと思います。

教会オルガニストと合唱指揮者は分担されいることもありますが、基本的には一人で担い教会音楽家カントーア)といいます。教会音楽家はオルガン演奏、合唱指揮のリハーサル、その他雑務イヴェントなどの管理企画、時にC教会音楽家の指導などを担います。

私はプロテスタント(Evangelisch)なので、プロテスタントの教会での礼拝で奏楽させていただいてます。

 

プロテスタントとの礼拝とカトリックのミサの形式はかなり違いますし、同じプロテスタントでも州によって少し違います。

簡単に言ってしまうと、カトリックのミサよりプロテスタントの礼拝の進行は少し分かりやすく簡単な構成。

ですが、カトリックは初めから即興、典礼音楽が多いのに比べ、プロテスタントの礼拝では前奏と後奏にできればその節に相応しいオルガン楽曲を弾くことが望ましく、また私の奏楽をするプロテスタントは少しカトリックの名残を残し典礼音楽も少しあってどちらがどちらとも言えないなとも思います。

 

⚜️ある日の礼拝【聖餐式、洗礼式なしのノーマルなザーランド州のプロテスタント礼拝】⚜️

オルガン前奏 – 挨拶–典礼祈祷−讃美歌1–詩篇−Gloria Patri − 祈祷 − Kyrie eleison – 慰めの言葉− „Allein Gott in der Höh sei Ehr"− 今日の祈り– 聖句− Halleluja – 讃美歌2 − 聖書朗読 Lukas 17, 20-24 „Vom Tag des Menschensohnes“–Glaubensbekenntnis(信条告白) – 讃美歌3 − 説教 − 讃美歌4 – 執り成私の祈り − Vater unserer (主の祈り) − 報告 – 讃美歌5 – 祝祷 – Amen − オルガン後奏

 

ドイツのプロテスタントの礼拝では、オルガン前奏、後奏、賛美歌、典礼音楽を弾くのがオルガニストの仕事。

讃美歌の伴奏には伴奏に入る前にどんなメロディーでどんなテンポで歌うのかを皆さんに提示するためのIntonation(ここでは賛美歌を歌う前に演奏される小さな即興演奏)を準備して弾きます。

今回のように大きなオルガンで弾く奏楽では、プロの即興家みたいに演奏中にあのレジスター(音色のストップ←英語)入れてああしたりこうしたり考えながら即興、なんてかっこええねん!とは思いますが、まだ(と書いておきたい)そこは私には無理なんですね。

小さなオルガンにはそれほどレジスターがなく準備せずとも対応できるのですが、バロック仕様、ロマン派仕様の大きなオルガンでいろんな音色があると、もうああしたいあのレジスター使ってこんな雰囲気の即興にしようとちょっと頑張りたくなります☺️そして、規模が大きくなると余計に。

私はそのためのレジスターを完全に事前に記憶しておきたいんですね。歴史的な手動のオルガンは記憶するのはそもそも無理ですが....

 

ここで教会オルガニストたる方々の基礎能力として付け足したく…一緒に学んだ同僚はみんなだいたい10代から教会でミサや礼拝を聞き、早くて10代前半からオルガンを演奏し始めてます😂、私が大学を入った時点で同僚たちは即興の先輩ばかり!子供の頃から10年ほど毎週聞いて演奏してるのでだんだん耳が覚え、オルガンに慣れ親しみ弾くことも当たり前になってくるんですね🤓

そんなわけなので、奏楽しているドイツのオルガニストは賛美歌のメロディーはほぼ全て暗譜してる方ばかり。ハーモニーのバリエーションも豊富で演奏のことは考えずとも次に何するかを考えられてすぐ様対応、レジスターも遠いし手動の場合は引くのも重いし、鍵盤を移動したりと結構なアトラクション的胴体能力も必要。明確な判断に身体能力も軽くないと、鈍臭いタイプにはオルガニストってなかなか難しいと最近つくづく思います。

 

音楽は時間とともに流れ、ふとした迷いや慌て、ミスなどにかまっている時間もなく、常に先に先に考えていないといけないんですね。弾いて聞いて試して練習あるのみです。

 

そして賛美歌ですが、数回繰り返す場合は毎回違うバージョンの伴奏が望ましく、ソロパートはオーボエにして伴奏はフルート属とプリンシパル属にして、この曲の最後は少し煌びやかにトランペット入れちゃおうか!やら、このレジスター使いたいな、ならペダルのcantus firmus(低旋律)にするかな?とか色々考えながら、みんなに歌ってもらいやすくするにはどうしようかと考えるのが楽しいんです。

私も、いつか本当の即興演奏、演奏中に音色や音楽のことだけを考えられるようになりたい!と願いつつ毎回かわいい即興から挑戦してます。

ちょっと言い訳がましいけれど、ここJohanneskircheのKleukerorgelはどちらにせよ、私の小さい体と短い腕ではレジスターのボタンが遠いため、記憶している音色を足元にある(お腹あたりにあるボタンか)ボタンを蹴って送っていくしかないのです😁ドイツにあるだいたいのオルガンは私たち日本人の身体には大きすぎて、巨大船の舵をとる小人状態🤣

 

 

教会音楽家の大切な仕事には、オルガニストの他に教会の信者で結成された(信者でなくとも入会できる)合唱団の週に一度は行われる練習・リハーサルで指導をし、教会節の折に合唱の指揮、オルガン伴奏なども行っています。今回は通常の礼拝でしたが、クリスマスに近づき教会のChor達も出番が増えてきます。

 

また、教会音楽家の仕事には教会の音楽関係イヴェント企画も担いっており、教会でコンサートってオルガンの他に何があるんだ!って思いますよね?

 

ドイツの教会ではパイプオルガンの他に、バイオリン、フルートや声楽家とのソロ楽器とオルガンやチェンバロ伴奏のセッションや室内楽、合唱などなど、日本ではコンサートホールであるコンサートが献金というカタチで(時々チケットを販売していますがお財布に優しめ)素晴らしいコンサートがお気軽に楽しめます。クリスマスやイースターにはオラトリオや受難曲など、オーケストラと合唱という大規模な演奏会も。宗教曲に縛られずピアノや様々なクラシック音楽の演奏会も色々とあり自由です!私はこの文化が素晴らしいと思います🍀

もちろん、歴史と文化の背景から宗教とともにあるヨーロッパでは教会は身近であり、宗教に関係なく芸術や歴史的な建造物の一つという感覚でも教会へ足を運びやすい点は日本とは違うし、合唱団(大人から子供まで)やコンサート、芸術、展示会などもあり、ドイツでは特に親しみやすくなり、むしろ街のコミュニティセンターのような役割に近いかなとも思います。

 

しかもとてもリーズナブル(献金)なので、ここは、もうドイツ旅行、ドイツに留学中の際には是非ともフラッと教会をのぞいてみてほしい!

ことオルガンについては、歴史的なパイプオルガン自体が教会や大聖堂に建造されており、パイプオルガンと教会はまさに一心同体❗️

 

いつかサントリーホールのリーガーオルガン建造するにあたってのお話を聞いた際に、カラヤンのアドバイスの一言を思い出しました。

『オルガンのないコンサートホールは、家具のない家のようなもの。コンサートホール自体が、オルガンを供えた楽器なのです』

と言われたそうな。

 

オルガンは大きな空間、教会にあるからこそその音色を響かせられるので、まさに教会はオルガンと一体化した楽の器とも思います。

 

街はだんだんWeihnachtsmarkt(クリスマスマーケット)をたて始め、だんだんクリスマスモード🎄

去年は真っ暗闇の街が今年は活気を取り戻し灯りがともり始めてます。

そう、来来週はすでにAdvent (アドヴェント)へと突入です!

そしてオルガニストはなんだか心が踊り、何を弾こうかな、どんな奏楽にしようかなとワクワクしてきます♪ キリスト、メシアの誕生までの期間、アドヴェントについてはまた次回に🕊

 

🎶最後に先週末に私が弾いたプログラム🎵

  • Concerto a-moll BWV593 Bach
  • Wenn wir in höchsten Noten sein BWV 641 Bach 
  • Präludium und Fuge über B-A-C-H  Liszt

ちょっとだけLiszt🌹

https://www.instagram.com/reel/CWGQwrVI9ID/?utm_medium=copy_link

🎶

Bis dann 🌟

Lisztのオルガン作品をご紹介🎶

Guten Tag みなさん!

10月も下旬になり、今日のドイツは4日前の嵐🌪のような一夜を明けてから更に寒くなり冬の足が近付いてきているのを実感🍁ヒートテックはすでにもう大活躍で、日本の秋が恋しいです🍂

ドイツにはもちろん台風はないけれど、時に荒れ狂う暴風や雷、打ち付ける雨で巷はパニック🤯 電車が止まったり、高速道路も大木が転倒したりで通行止め。ここSaarbrücken周辺では朝から消防車のサイレンが鳴り続きました。

一昨日の夕方空

f:id:yumi-o:20211026021103j:image

 

ところで、10月22日はかの有名な作曲家でピアニストであったフランツ・リスト(Franz Liszt)の誕生日でした。

210年前の1811年ハンガリー王国で生まれ1886ドイツ帝国バイロイトで亡くなりました。音楽人生のほとんどが、ドイツやオーストリアで過ごし活躍したため(ローマで僧になる時期も)ドイツの音楽家のような位置付けに。

余談ですが、Liszt の娘コジマさんはワーグナーの最後の妻で、Liszt & Wagnerなんて世界最強音楽ファミリーやん!?!LisztもWagnerも男前で大人気、でもってもちろん女性大好き、素晴らしい音楽家の人生の物語だからこそ?背景には壮絶な愛🖤❤️‍🩹のドラマが...このネタで一本映画🎞が作れるのではないかというくらいの愛と嫉妬、複雑な人間関係の物語が展開されたことは確かのようです。っと、こういうテーマが大好きなので戻れなくなりそう…

解りやすくリストについて書かれたサイトを(勝手に)拝借⬇️

classical-music.fun

Lisztは私も敬愛する作曲家、ピアニストのうちの一人。

彼の超絶的なピアノテクニックに当時では『ピアノの魔術師』と言わられたほどのピアニストでした。

私めもピアノを弾いていたわかーい頃、Lisztの作品に心が燃え❤️‍🔥憧れ猛練習しました。

クラッシックやピアノ曲がそんなに身近にない方でさえも、どこかで聞いたことあるぞ?なくらい日本でもよく馴染みのある曲で、知られている作曲家の一人だと思います。特に、La Campanella(ラ・カンパネッラ)やLiebesträume(愛の夢)、Ungarische Rhapsodien(ハンガリー狂詩曲)など。 

 

そして、本題はというと、Lisztはオルガンのための素晴らしい作品も作ってるんです✨というのが今回のテーマ😚

 

今回はおすすめのオルガン曲(個人的に抜粋)をご紹介。

 

♫Präludium und Fuge über das Thema B-A-C-H (S.260i)【バッハの名による前奏曲とフーガ】

恐らくオルガン曲の中でも一番知られている曲。この作曲のきっかけは、ドイツのメルゼブルク大聖堂のLadegastorgel(ラーデガストオルガンはLisztオルガンとして有名)の落成式のため作られました。B-A-C-HとはJ.S.Bachへのオマージュとしてテーマになり最初から最後までドラマチックかつ劇的なリスト風シ♭-ラ-ド-シ(移動ドでも)が繰り返されます。

Lisztは作曲後に編集や改訂を繰り返しては世に出したため、同じタイトルの曲がいくつかある上に、ピアノ版、オルガン版とあり、聴き比べも興味深い作品。

f:id:yumi-o:20211026084215j:image

Merseburger Dom Ladegastorgel 

 

♫ Fantasie und Fuge über den Choral Ad nos, ad salutarem undam 【コラール『アド・ノス アド・サルタレム・ウンダム』による幻想曲とフーガ】

ワーグナーのオペラ「マイヤベーア」の中の"預言者"の肖像からの30分の大曲を編曲...というか、導入部のChoral(コラール・合唱)をテーマに3部の幻想曲・アダージョ・フーガへと変奏曲にした感じです。

Ad nos, ad salutarem undamはラテン語で、日本語訳は「私たちへ、魂の救いを求める人達へ」という宗教音楽なのですが、Lisztの手にかかると、宗教色というよりもこのテーマをドラマチックで華麗、重厚で重苦しい悲壮感や情感を見事に楽譜へと魂が吹き込まれ、聴き応えがある素晴らしいオルガン作品であることを保証いたします。オルガニストとしては更にオルガンのストップ(オルガンの音色を決める)選びも興味深い重要なポイントに。

この曲には、オルガン独奏、オルガン四手、ピアノ四手の連弾バージョンがあり、その中でもオルガン独奏バージョンがよく弾かれるのは、オルガニストにとって憧れのオルガン曲なんです。

Lisztも自身のオルガン曲の中で一番の自信作✨と言ってたそうです👏

 

♫ Weinen, Klagen, Sorgen, Zagen 【バッハのカンタータ『泣き、歎き、憂い、怯え』とロ短調ミサ「十字架に付けられ」の通奏低音による変奏曲】

基本はバッハのカンタータからの変奏曲なので、リスト版バッハのカンタータ

タイトルの通りキリストが十字架に付けられる際の語りと想いをこめたカンタータは、悲しく、重たーく、音符の進み方も何か"十字架を背負ったキリスト"を連想させられるようで、和声的にも不協和音の連続なのですが、最後のコラール"Was Gott tut, das ist wohlgetan"のコラールが始まると涙が溢れそうに😢(個人的意見)

Andreas Rothkopf のOrgan Works vol.I "Weinen, klagen, Sorgen, Zagen" このCD録音には他にPräludium und Fuge über das Thema B-A-C-Hも収録

www.youtube.com

 

更にこれまでに様々なオルガニストが、Lisztの音楽性、その感性の素晴らしさや技法に魅せられオルガンで表現すべくLisztの宗教曲やピアノ曲をオルガン作品へ編曲しています☺️

 

続いて、編曲バージョンのおすすめ

 

 Les Préludes 【レ・プレリュード】 

この Les Préludesは、Lisztの13ある交響詞のなかでも代表的で、Lisztの思想が詰まった作品、生きるプロセス(争い、(人生の)嵐、愛の喜び、痛み、慰め、自然体験)が死への旋律への前奏曲であるという人生観が込められています。その代表作をHelmut Deutschが1999年に編曲し世に送り出しました。素晴らしいご自身の編曲をご本人が演奏されている姿がYoutubeで見ることができますので是非とも試聴してみてください。

 

♫ Sonate h-Moll 【ピアノソナタロ短調

Lisztのピアノ曲で有名なピアノソナタロ短調がオルガン曲へと編曲されており、Bernhard HassとAndreas Rothkopfの2バージョンあります。Rothkopf氏はピアニストとしても素晴らしいオルガニストで、かなり長い間この曲を温め2018年に出版。

作曲当時、LisztはWeimar(ヴァイマル)の宮廷楽長で、この頃からキリスト教に題材を求めた作品が増えローマに移り住み僧にまでなったそうで、かつてBachもWeimarの宮廷オルガニスト兼宮廷楽師を勤めていた経緯もあり、Bachの音楽や宗教上で何か通じるものがあったのではないかなとも。

 

Lisztは当時も有名なピアニストだったので、ピアノの作品を多く作っていますが、時に交響曲などを即興でピアノで弾いた際には手が足りないー❗️💦と言っていたそうで...このロ短調ソナタの楽譜を見ていても音の幅、和声の幅が広く、もしLisztがオルガンの魔術師のように操ることができていたら...どうだったのだろう!!と超絶興味深いテーマが勝手に展開しそうに。

Lisztの曲は、ピアノで弾く方がしっくりくる曲、ピアニストだったからこそというのはありきの上でも、上記の曲はピアノでは表現しきれない要素を含んだ作品だと私は感じていて、是非ともオルガンバージョンで聞いてみていただきたいなと切望します!

 

と言っても、いくらここで音源をご紹介してもスピーカーを通すと台無しに...😢教会での録音、オルガンの構造上音響、繊細な音、迫力は聞き取れません。素晴らしさをお届けしたいのに、そうもいかないのが建造物であるパイプオルガン🏛

 

大きくなるとまるで教会の中に教会?お城?ドデーンッ!!

f:id:yumi-o:20211026035513j:image

Schweriner DomのLadegastorgel

💮オルガン演奏は生演奏に限るんです!

 

organguide.exblog.jp

ということで、日本にも素晴らしいオルガニストがたくさんいらっしゃって、オルガンの演奏会がコンサートホールや教会で開かれているので是非とも聴きに、いえ、癒されに行く感覚で足を運んでみていただきたいです ♫🤎🎶💛♪

 

今日はここで失礼します🕊

引き続き季節の移り変わり、お体に気をつけてお過ごしくださいね🤗

芸術の秋・オルガン曲の録音日和

Guten Tag!

ドイツは、束の間の秋真っ只中です。そして、芸術の秋🍁

先日、Völklingen(フォルクリンゲン)という街にあるVersöhnungskirche(フェアズーヌングス教会)で、J.S.Bachのオルガン曲Plärudium und Fuge h-Moll (プレルュードとフーガハ短調)とGeorg Muffat Toccata secunda (トッカータの2番)の録音をしてきました。

 

私の住む街のお隣さん、Völklingenという街についてちょこっとご紹介。

ここには世界遺産UNESCOに登録されたVölklinger Hütteフォルクリンゲン製鉄所があり、まるでハウルの動く城に出てきそうな風景。1873年に建てられたこの製鉄所は、ヨーロッパ産業遺産のなかで最も重要な位置を占めています(Wikipediaより)。

 

ja.wikipedia.org

 

そして、このVersöhnungskircheの歴史を少し、1737から1738年の間に建てられた元々はカトッリクのこの教会が、プロテスタントの信者も共同で使い始め、1848年頃からはプロテスタントの教会になったそうです。

この教会は、内装がとにかく美しい!入って広がる広大な空間と高い天井、天井画、バルコニー、シンメトリーになっていて、おちつたネオバロック洋式となっております。

f:id:yumi-o:20211011185829j:plain

Versöhnungskirche (フェアズーヌングス教会) Völklingen

広い教会内の前方のバルコニー上には、1930年のE.F.Walcer&Cie製のパイプオルガンがドーンと存在感を醸し出しています。

その時代、Saarland、ドイツの中でもこのWalcer製のパイプオルガンは有名になったようです。が、度々起こる故障(素材の劣化など)のために、1979年にKarl Schuke(Berlin)が修復作業に入り、パイプやDisposition(ストップ列)は残したまま、内部のNeupneumatisch(ノイプノイマーティッシュ)メカニック様式をその時代の流行りであったエレクトロ様式(なぜかストップを変える作業だけ機械式)に全て変えてしまい、微妙な音色、タッチ(電子オルガンと一緒の仕組みに)が完全に変わってしまいました...個人的には非常に残念です。

が、しかし、ドイツ新ロマン派主義の曲を弾くと、この広い空間とマッチし、しっくりくる響きになるのです...例えばリストとか、ロイプケなど。

と言いながら、今回は、J.S.Bachと更にBachより先輩の方のバロック音楽の方々の録音。Bach のPlärudium und Fuge h-Moll は、精密なタッチやアーティキュレーションは甘くなってしまいますが、教会に広がる響きや仕上がりはなかなかいい感じに仕上がるのです。

Muffatも弾き方を考え、演奏、響きにさほど不満ではないのですが、やはり更に精密なタッチやArtikulationの感覚はメカニックオルガンでの方が更にはっきりし発音でき、しっくりくるだろうと思ってしまうと…撮り直すか悩ましい。

というのも、このPlärudium und Fuge h-Moll は、恐らくBach のオルガン作品の中では最後の方、いや最後に書かれたのではないかとも言われており、確かな証拠はありませんが、作品の書き方や、キャラクターの観点からも、バロックとロマン派っぽい特徴を持っているように思うのです。

f:id:yumi-o:20211011200621j:plain

E.F.Walcer&Cie製オルガン

このオルガン曲h-Moll、多種多様なInterpretation(演奏解釈)があり、弾く方によってかなり違います。

今回の私の試みは、このオルガンで弾くPlärudium und Fuge h-Mollとして演奏をしました。これが、もし、Gottfried Silbermann Orgel(ジルバーマンオルガン)などのバッロックメカニックのオルガンで弾けば、また少し違う演奏方で、もちろん音色も違います。(そもそも整音の仕方も違うので、全く違う音楽に聞こえる程。)

 

ね?パイプオルガンって面白いでしょ!

世界に全く同じパイプオルガンはなく、時代やオルガン制作者、オルガンの建造方式、オルガンによって音色や響きも違ってきて、弾き方によっても更に違ってくるという。

 

これからも、もっともっと色々なオルガンに出会いたいな!という気持ちになります。

 

ただいま、録音確認しながら映像と録音を整理中、近日中に皆様にお届けしたいなと思います🎶

 

 

お詫び

正直に書きます。なんと…2年近く、自分のブログのことをすっかり忘れてしまってました!

つい最近気付いて、Oh mein Gott! 🤯

今更自己分析すると様々な理由があるような…
1番の理由は、2年前(日本へ一時帰国する前あたり)から、実は四十肩か何かかと思い放置し抱えていた左肩の痛みで様々な影響が及びはじめたこと。
教会音楽の指揮の試験やら、StuttgartとSaarbrückenの行き来や家事や掃除に追われ、大学との両立に時間の余裕がなくなってしまい…
ブログの存在を完全に忘れてしまったわけです。ほんとすっかり。

その、肩の故障ですが、2年前は寝られない程に悪化…オルガンの練習しても30分経つと腕の筋肉が硬直、3段目の鍵盤にも痛みを伴う、肩だけではなく腕までまるで鉛のサポーターをくくりつけてる(筋肉トレーニングに使うサポーターみたいなの)みたいにダルくなり、これは流石におかしい😕と。
ついにドイツのお医者様に予約をとり始めるんですが、その頃、ドイツは第一回目のハードロックダウンが緩やかになり始めた頃。お医者様も病院もまだまだどこもコロナパニック。
何件もあたりやっと最短で診てもらえるお医者さんにつながったかと思いきや、最短が1か月待ち🤦🏻‍♀️更にMRTを取るのに1か月待ち…🤷🏻‍♀️神経、整形外科、内科、様々な理学療法士にお世話になり、様々な医者に通いながら半年かけて原因を追及。
結果、骨髄浮腫の炎症。5回のコルチゾール注射プラス理学療法で徐々に回復。
今でも、理学療法士で学んだストレッチは毎夜寝る前の儀式に🙏
ありがとう、ドイツのフィジオテラポイテン様!

身体の不調は、スポーツ選手、演奏家や音楽家には特にセンシティブな問題で、原因がわからず痛みが悪化すると、このままでは演奏ができなくなる不安で鬱のような状態に…でも、原因がわかり、注射、理学療法でかなりの回復、更にヨガ、ジョギングを取り入れて、コロナ自粛期間は休養に専念しリラックス🧘‍♀️心身の調子を整える時間に。

すると、また襲ってきた次はほんとに長ーい暗ーいドイツのコロナ自粛期間へ突入。
基本的には自宅待機で時間はあったのに、またもやブログのことを思い出せなかったのは自分でも不思議🤭今更すべてが言い訳がましいですね💦
まぁ、私の性格上、「まめに」というのがだいぶ難しいということです。お仕事ではないので、好きな時に好きなことを楽なスタイルでこれからも発信し書いていきたいと思います。
って、全ての投稿記事がまだ一桁ですが🤫

さて、肩の調子もだんだん良くなり、心もリセットされ、今年に入り、卒業前の最後の学期は、5時起き、7時には大学のコンサートホールで準備、8時にレッスン😵‍💫(まだ身体が寝てます)、昼過ぎは練習、夕方には眠気🥱と疲労で夕方5時に夕食、夜8時過ぎにはストレッチし就寝😴というような今までにしたことのないスーパー健全な生活を続けておりました。

そして、6月に大学院は無事卒業💮しました🥂

やっと、学生を卒業し、これからはオルガニスト、音楽家として活動しながらちょっとした副業、新たな挑戦をするべく毎日パソコンに座っております。

そこで、最近ふと…あれ?あ、そうそう…とブログの存在を思い出したんですね🤭🙄この話はもうお終い😁

時間も心の余裕もでき、これからも無理のない程度にブログを書いていこうと思います。

👇コンサートホールでの卒業コンサート、残念ながら録音出来ず写真だけ🌹
f:id:yumi-o:20211005085031p:plain

こんな、私ですが、どうぞよろしくお願いします🖤❤️‍🔥💛

オルガニストって?そしてパイプオルガンって?

あっという間に7月も後半、更新をしないまま...1ヶ月以上経過🙄

私の住むSaarbrückenからStuttgartを行き来する生活は思ったより大変。。。特にこの1ヶ月はなかなかハードで🎸⚡️

新しい環境での厳しいレッスン、コンサート、マスタークラスなどなど立て続けに押し寄せ毎日必死💨 でも、今となってはその分充実 してたなと思え、やっときた夏休みは次に繋げていく作業♪

ってなわけで、ただ今、1年ぶりに日本に帰国し休暇、充電中💛

 

ところで、オルガニストってなんなのかなぁって思いますよね...クリスチャンであるならば、教会でオルガンを弾く人ということは知られていても、クリスチャンが少ない日本では、オルガニストってパイプオルガンを弾く人というより、どちらかというとリードオルガン(その昔小学校にあった)を弾くこ人のことをオルガニストと呼ばれ、しかもパイプオルガンを見たことがない方がほとんど。

f:id:yumi-o:20190720085050j:plain

Merseburg Dom - LadegastOrgel

 

ヨーロッパには教会がそこら中にあってオルガニストがいて、パイプオルガンがあるのが当たり前、そんな環境の中では、なになに、オルガニストってなに?なんて疑問も生まれず、『あ、大学のオルガン科、教会音楽科で学んでます。』と自己紹介しても、全く違和感はなく、ピアノ科や声楽科と同じような印象。

そう、ヨーロッパでは、オルガニストと言われる音楽家が日本でいうピアニストのようにたくさんいます。それは、もちろん、キリスト教の影響で、礼拝でパイプオルガンを弾き、専門て的な技術、知識がある演奏者が必要。ドイツに限っては教会音楽科B(学士)A(大学院)という専科が大学にあり、教会音楽家を養成。

Borgentreich Barockorgel

パイプオルガンの演奏台 

これはパイプオルガンの演奏台とパイプの音色を決めるレジスターと呼ばれるノブ。パイプはこの演奏だいの上、横、背中にもあって、どデカすぎて写真には納められません。この鍵盤の横や上についてあるノブは、音を出したい種類のノブをひくと音が出て、そのノブをたくさん引いて重ねると壮大な響き、もしくは ‘1人でオーケストラ’ のような響きにも。

 

f:id:yumi-o:20190720110050j:plain

 

オルガニストやオルガンの歴史はまたいつかにして、オルガニストでみんながよく知っている音楽家といえば、ヨハン・セバスチアン・バッハ。この写真に偶然にも上の方の写真には楽譜が写ってます(笑) 彼のオルガン曲といえばトッカータとフーガニ短調やフーガのト短調が日本では有名。でも、ヨーロッパではどちらかというとほとんど弾かれない楽曲。。。日本でだけ有名(笑)

 

ja.wikipedia.org

パイプオルガンは、その名の通り、パイプがあるオルガンで、鍵盤は手鍵盤と足鍵盤があり、手鍵盤はピアノと変わらないのですが、白鍵と黒鍵が反対。機能的にはピアノのようにハンマーがあって鍵盤を押すと弦を打つ打楽器のようなものではなく、パイプの弁が開いて空気が入る、むしろ吹奏楽器のような機能。足鍵盤は、両足の足の先とかかとで鍵盤を押して、手のように演奏します。どんな感じになるのかなぁって思いますよね。

世界で、現在は日本で大活躍の石丸由佳さんの素晴らしい演奏を!

www.youtube.com

 

日本にはドイツ、フランスなどで研修を積んだ優秀なオルガニスト達が実はたーくさんいらっしゃいます。

 

ヨーロッパでは、オルガンの演奏だけでなく、即興というテクニックも大切。なぜかって、礼拝では賛美歌を伴奏するので、その賛美歌をみなさんに歌ってもらいやすくするために前奏を考えて弾かなければなりません。調性、ハーモニー、テンポをしっかり考えて、みなさんが歌う賛美歌に少し装飾したりメロディーを基にして自由にプチ作曲。カトリックの教会のオルガニストは、ミサの始まりから終わりと、規模が大きめの即興演奏を要求されます。

 

下は、シュトゥットガルト音大の即興演奏の教授、ヨハネス・マイヤー先生の即興演奏。

聴衆が賛美歌を選択し、その場で考えて演奏してます。もちろん、音色も演奏中に考えます。ご覧のように、演奏中に演奏しながら横についている沢山あるノブから選び引っ張る、この器用にノブを引っ張るの、難しいんです。。。

この時は、何曲か賛美歌をリクエストされたみたいで、メドレー風になってます!

 

www.youtube.com

 

 

ということで、オルガニストはパイプオルガンをこんな感じで演奏してます。

というのが少しわかっていただけましたか?

 

今日はこの辺で、お邪魔しました☺️♪

日本滞在も楽しみながら、またブログを更新します🍀

 

 

 

 

世界遺産マウルブロン修道院でオルガンコンサート

世界遺産、マウルブロン修道院

みなさん、ドイツにある世界遺産ってどれだけ知ってますか?

f:id:yumi-o:20190601053023j:plain

 

私は、旅、観光、しかも世界遺産を訪ねるのがとっても好き!結構知っている方だと思っていたのに、ドイツの世界遺産ってノイシュバンシュタイン城とかケルン大聖堂ポツダムバンベルクとかくらいで、意外と知らなかったことに、いや、ドイツに世界遺産がたくさんあるのに日本では意外と有名じゃないことに気づきました。

私の、住んでいる、Saarland【ザールラント州】も、電車で、3駅くらいのところVölklingen【フォルクリンゲン】、来るまで1時間半のTrier【トリヤー】というところに、ドイツでは有名な世界遺産があります。

ja.wikipedia.org

今日は、その中でも、世界遺産のマウルブロンの修道院というところに行ってきました。といっても目的は、私の尊敬するオルガニストである師匠のコンサートへ、目的は観光ではなかった....のに行ってみて、とても素敵なとこ。

 

マウルタッシェ

その修道院よりも、ドイツで有名なお話が。ドイツのSchwaben料理【シュヴァーベン郷土料理】が有名で、その料理の名前の由来を知ってるから修道院が有名に(ドイツでですけど)なってるのかなと。

ドイツの郷土料理、Maultasche 【マウルタッシェン( 本当はマウルタッシェ…でもWikipedia で調べたら日本語ではなぜか複数形になっていたので、ここでは日本語にあわせて) 】たるもの見たことあるでしょうか?

最近は、日本にもドイツレストランがあるけれど、どちらもきっと知らないですよね....私だって、ドイツに来るまでは知らなかった。

このMaultascheたるのも、ドイツのスーパーでは大体お見かけするんです。いうならばドイツのラビオリ、日本でいう餃子みたいなの。でも大きさは、ドイツサイズ、デカイんです。tascheってドイツ語で鞄とか袋っていう意味で、マウルの袋!料理を見たら、ほんとだ。。。って思います。小麦粉で作られたパスタのような生地の中に、豚のひき肉が入ってるんです。

四旬節といって、復活祭の46日間の間のことを言うのだけれど、キリストの復活がなしとげられるまでは教会ではお肉を食べることができなかったんですね。そこで、ある修道女から....耐えきれなかったのか、料理中にそれではお肉を生地に隠してしまえば神様にわからない!と言うアイデアが生まれ、この料理が生まれました。もちろん、みんな食べたかったんですね。笑

 

ドイツでは今でも、もちろんキリスト教の文化が根付いてます。でも、そんなキリストに背くような話、歴史がむしろ有名になり、今でも郷土料理として愛されているのも、ドイツ人のポジティブでユーモアのある性質が映し出されているような気がします。

 

料理は実は、5年前に一度来て食べたのだけど、今回は食べる時間がなかった....ので、マウルブロンと言うところがどんな感じなのか。。。

 

f:id:yumi-o:20190601053159j:plain


 修道院の入り口付近、中は、昔のまま、入って見学できます

 

f:id:yumi-o:20190601053313j:plain

広場にある噴水

暖かく、休日だったため、たくさんの人!

 

パイプオルガンコンサート

そして、楽しみだったコンサート。

ドイツの教会には、ほとんどの教会にパイプオルガンが設置されていて、礼拝を執り行うには欠かせない大切な楽器。日本では、教会より大きなコンサートホールに入っていることが多いかな。

J.S. Bach【ヨハン セバスチャン バッハ】はみんな知ってるだろうし、彼は、作曲家として知られていますが、オルガニストカントールでもありました。

今日は、バッハや、リスト、メシアンなど、このパイプオルガンでは、いろんな時代のたくさんの可能性があって弾けるんだよっていうプログラムでした。

色々紹介したいのですが、まずはパイプオルガンの紹介ですね。

次回は、パイプオルガンについて書いてみようと思います。

 

f:id:yumi-o:20190601053805j:plain

コンサートは、もちろん素敵でした🎶
 

 私ももっとがんばるぞー!

引っ越しパーティー

今日は、Stuttgartにいる友人宅の引っ越ししましたパーティー🎉

友人ちゃんは、とてもいい物件を、ドイツの大都市の中でもとにかーく見つけるのが大変な州ナンバー3に入るくらいのStuttgartで成功!

この数ヶ月、自分達で、お掃除、壁塗り、インテリア、引っ越し作業などなど頑張ってました。

友人ちゃんのセンスが散りばめられた素敵なおうちに仕上がりました🍀

 

ドイツ語では、Einweihungsfeier Einweihungsparty 【竣工式、落成式】

といって、報告やお披露目という意味を込めて親しい友人や親族をよび、この引っ越し完成パーティーするのは大切なんですね。日本で引っ越しパーティーたるもの、なかなかないですよね、友人や親戚と会える、または新しい出会いがある機会でもあって、いい文化だなと思う。

 

f:id:yumi-o:20190530191852j:plain

 

すべて手作りっていうのも、楽しいし

 

 

f:id:yumi-o:20190530192601j:plain

 

友人の友人やら、新しい出会い。そして、飲んで、食べて、おしゃべりも楽しい

 

 

f:id:yumi-o:20190530195149j:plain

友人ちゃん、お疲れさま!

そして、Zum Wohl !【乾杯!】