Café de Yumi

オルガニストYumiと音楽食住を語りあうCafé

芸術の秋・オルガン曲の録音日和

Guten Tag!

ドイツは、束の間の秋真っ只中です。そして、芸術の秋🍁

先日、Völklingen(フォルクリンゲン)という街にあるVersöhnungskirche(フェアズーヌングス教会)で、J.S.Bachのオルガン曲Plärudium und Fuge h-Moll (プレルュードとフーガハ短調)とGeorg Muffat Toccata secunda (トッカータの2番)の録音をしてきました。

 

私の住む街のお隣さん、Völklingenという街についてちょこっとご紹介。

ここには世界遺産UNESCOに登録されたVölklinger Hütteフォルクリンゲン製鉄所があり、まるでハウルの動く城に出てきそうな風景。1873年に建てられたこの製鉄所は、ヨーロッパ産業遺産のなかで最も重要な位置を占めています(Wikipediaより)。

 

ja.wikipedia.org

 

そして、このVersöhnungskircheの歴史を少し、1737から1738年の間に建てられた元々はカトッリクのこの教会が、プロテスタントの信者も共同で使い始め、1848年頃からはプロテスタントの教会になったそうです。

この教会は、内装がとにかく美しい!入って広がる広大な空間と高い天井、天井画、バルコニー、シンメトリーになっていて、おちつたネオバロック洋式となっております。

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Versöhnungskirche (フェアズーヌングス教会) Völklingen

広い教会内の前方のバルコニー上には、1930年のE.F.Walcer&Cie製のパイプオルガンがドーンと存在感を醸し出しています。

その時代、Saarland、ドイツの中でもこのWalcer製のパイプオルガンは有名になったようです。が、度々起こる故障(素材の劣化など)のために、1979年にKarl Schuke(Berlin)が修復作業に入り、パイプやDisposition(ストップ列)は残したまま、内部のNeupneumatisch(ノイプノイマーティッシュ)メカニック様式をその時代の流行りであったエレクトロ様式(なぜかストップを変える作業だけ機械式)に全て変えてしまい、微妙な音色、タッチ(電子オルガンと一緒の仕組みに)が完全に変わってしまいました...個人的には非常に残念です。

が、しかし、ドイツ新ロマン派主義の曲を弾くと、この広い空間とマッチし、しっくりくる響きになるのです...例えばリストとか、ロイプケなど。

と言いながら、今回は、J.S.Bachと更にBachより先輩の方のバロック音楽の方々の録音。Bach のPlärudium und Fuge h-Moll は、精密なタッチやアーティキュレーションは甘くなってしまいますが、教会に広がる響きや仕上がりはなかなかいい感じに仕上がるのです。

Muffatも弾き方を考え、演奏、響きにさほど不満ではないのですが、やはり更に精密なタッチやArtikulationの感覚はメカニックオルガンでの方が更にはっきりし発音でき、しっくりくるだろうと思ってしまうと…撮り直すか悩ましい。

というのも、このPlärudium und Fuge h-Moll は、恐らくBach のオルガン作品の中では最後の方、いや最後に書かれたのではないかとも言われており、確かな証拠はありませんが、作品の書き方や、キャラクターの観点からも、バロックとロマン派っぽい特徴を持っているように思うのです。

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E.F.Walcer&Cie製オルガン

このオルガン曲h-Moll、多種多様なInterpretation(演奏解釈)があり、弾く方によってかなり違います。

今回の私の試みは、このオルガンで弾くPlärudium und Fuge h-Mollとして演奏をしました。これが、もし、Gottfried Silbermann Orgel(ジルバーマンオルガン)などのバッロックメカニックのオルガンで弾けば、また少し違う演奏方で、もちろん音色も違います。(そもそも整音の仕方も違うので、全く違う音楽に聞こえる程。)

 

ね?パイプオルガンって面白いでしょ!

世界に全く同じパイプオルガンはなく、時代やオルガン制作者、オルガンの建造方式、オルガンによって音色や響きも違ってきて、弾き方によっても更に違ってくるという。

 

これからも、もっともっと色々なオルガンに出会いたいな!という気持ちになります。

 

ただいま、録音確認しながら映像と録音を整理中、近日中に皆様にお届けしたいなと思います🎶